GDP成長率や失業率などのデータは経済データとして定期的に発表されています。また、その予想値もさまざまな機関から発表されています。
「1年後に景気後退入りする確率は50%」、「来年のGDP成長予想は3.0%」などが経済予想にあたります。
投資ではどの程度この経済予想を気にする必要があるのでしょうか?
この記事を読むと、経済予想はあてにならないことが分かります。また、あてにならない経済予想に振り回されない投資方法も分かります。
経済予想は難しい
ネイト・シルバーは2009年にタイム誌が毎年発表する「世界で最も影響力のある100人」の一人に選ばれた人物で、統計学の専門家です。
2012年にはアメリカ大統領選挙の50州すべてで勝者予想を的中させたことでも有名になりました。
そのネイト・シルバーの著書「シグナル&ノイズ」で、「経済予想はなぜ当たらないのか」という話題で1章使って議論されています。その本の中で、
GDP成長率の実測値は、1993年からの18年間で6回も予測区間を外れている。約3分の1だ。もはや運が悪かったというレベルではない。
シグナル&ノイズ
と言っており、予想精度の悪さを指摘しています。
また、「シグナル&ノイズ」によると経済予想には以下の3つの難問があるとのことです。
- データが多すぎて因果関係を見つけるのは困難である
第二次世界大戦以降の不景気は11回程度で、この不景気を説明するために、400万ものデータから適切なものを選ばないといけません。この数のデータから適切なデータだけを使って不景気の因果関係を見つけるのは困難です。 - 経済が絶え間なく変化している
例えば経済の中心が製造業からサービス業に移行したことのように、経験したことのない変化が起こります。この変化により、だれもどうなるか正確に予想できないのが経済です。 - 経済データにもノイズが多い
経済データは後日修正されることはおおいです。2008年の第4四半期のGDP成長率は、当初3.8%のマイナスと発表されたが、のちに9%のマイナスと訂正されたこともあります。
相当数あるノイズの多いデータを使って、絶え間なく変化している経済を予想するので、正しい予想ができないのは仕方ないことかもしれません。
バフェットは経済予想についてどう考えているか?
市場で勝ち続けているウォーレン・バフェットは経済予想をどのように使っているのでしょうか?
バフェットからの手紙を読むと、経済予想について、あてにしていないことが書かれています。
マンガーと働き始めて54年がたちますが、魅力的な買い物をマクロ経済や政治状況や他人の見方に影響されて見送ったことは一回もありません。
バフェットからの手紙
預言者の墓場は、マクロ経済の予想家のために広く場所が開けてあることを述べておかなくてはならないでしょう。事実、バークシャーではマクロ経済の予想をほとんどしませんでしたし、ほかの人々の予想が継続して当たっているのもめったに見かけません。
バフェットからの手紙
バフェットのバリュー投資では経済動向は気にせず、企業の価値にフォーカスし続けています。そして、すばらしい会社が適正な価格であれば買って、すばらしい会社として維持されている間は保持します。
経済予想に振り回されないための投資手法
短期投資では精度の悪い経済予想やノイズの多い経済データの影響を受けてしまいます。
経済予想に振り回されない長期投資として、以下の二つがおすすめです。
- バリュー投資
バフェットのバリュー投資では、すばらしい会社はどんな経済状況でも、長期的にはすばらしい成績を残すと考えます。そのため、経済予想に振り回されません。 - S&P500への長期投資
S&P500に連動するインデックスへの投資も、アメリカ経済は長期的にみれば上昇していくという信念が投資スタンスの根底にあります。そのため、一時的な落ち込みに目を向けず、投資を続けられます。
まとめ
経済予想はあてになりません。
同じ人や機関の予想が継続して当たり続けることも期待できません。
経済予想に振り回される短期投資ではなく、
- バリュー投資
- S&P500など、経済成長が継続する市場へのインデックス投資
がおすすめです。