株式を長期保有していると保有株がTOB（株式公開買い付け）される場合があります。
私も保有株がTOBされた経験が4回あります。
この記事では、TOBとはどのようなものか、個人での保有株式がTOBされた場合、どのように対処すればよいかを経験談を含めて解説していきます。
TOB（株式公開買い付け）とは
TOBとはTake Over Bidの略で、日本語では株式公開買い付けと呼ばれます。
上場企業の経営権を取得したりする目的で行われ、短期間で大量に買い付けられます。
TOB発表時点で、TOB価格が設定され、通常はTOB発表直前の価格よりも高い価格で設定されます（プレミアムが付くと呼ばれます）。
個人での保有株式がTOBされた場合どうする？
個人で保有している株式がTOBされた場合どうすればよいでしょう？
まずは、TOBに関する情報を確認していってください。
①上場廃止になるか確認する
まずするべきは、上場廃止になるか確認します。
上場廃止になるケースが多いですが、維持されるケースもあります。
例えば、2016年にヤフーがイーブックイニシアティブジャパンをTOBで子会社化と発表しました。
この時はヤフーの保有比率は49%で、TOB成立後も上場は維持されました。
上場が維持されるのであれば、保有を続ける選択肢もあります。
ちなみに、イーブックイニシアティブのTOB価格は1150円でしたが、2016年時点では上場が維持され、2021年にNAVERに1株4750円で買収され、上場廃止になりました。
私は1150円で市場で売ってしまったので、あと5年持っていれば4倍以上になっていました。。。
②TOB価格を確認
上場廃止・維持にかかわらず、いくらで買い取られるかはとても気になります。
TOBでの買い付け価格を確認しましょう。
TOB発表直前の価格よりも上がることは多いですが、自分の買った値段よりも下がっている可能性もあります。
ただし、値段を確認したところで、個人投資家のレベルでは対抗するすべはほぼありません。
価格に対して、発表されたTOBの資料に記載されている問い合わせ先に意見を出すことは可能です。
③TOBの買い付け期限を確認する
買い付け期限を確認しましょう。
なぜかというと、買い付け期限直前にTOB価格が引き上げられることがあるためです。
例えば、2016年にヤフーがイーブックイニシアティブにTOBを行った際、
- 当初期限：2016年8月15日、TOB価格850円
- 価格引き上げ：2016年8月12日、TOB価格1150円（35%UP！！！）
- 期限延長：2016年8月29日
となりました。
TOB発表直後に市場で売却してしまうと価格引き上げの恩恵は受けられません。
ちなみに、保有株がTOBされたのは4回ありますが、価格引き上げがされたのはこの1回だけでした。
注意点として、TOB期限まで待っていると、TOB不成立が起き得ることです。
TOB不成立の事例は少ないですが、TOBで舞い上がっていた株価が下がる可能性もあります。
長期保有予定であった株であれば、万が一TOB不成立でも保有を続ければよいです。
短期予定だった株であれば、TOB期限まで待っていると、価格下落リスクがあります。
④売却するか決定する
保有株がTOBされた場合、大量の書類が証券会社から送られてきます。
証券会社の営業担当者が家に来たこともあります。
TOBに応募する場合、通常はTOBの幹事となる証券会社の口座を作成するなどの手続きが煩雑です。
売却する場合、市場で売却したほうが楽です。
おすすめの売却意思決定は以下に示します。
上場維持される場合、魅力的な会社であれば保持する
そもそも魅力的な投資対象なので、長期保有しているのだと思います。
そのため、上場が維持され魅力的であり続けるなら、保持しているのも良いです。
上場廃止される場合、買い付け期限ぎりぎりまで待って市場で売却
TOB価格の引き上げの可能性があるので、期限ぎりぎりまで待つことをおすすめします。
通常、TOB発表後は、TOB価格付近で株価が張り付きます。
TOB期限ぎりぎりでは0.2％程度価格が下がることがありました。
しかし、0.2%よりも、価格引き上げを逃すほうがデメリットが大きいです。
買い付け期限後もすぐに上場廃止にはならないので、買い付け期限後の市場で売却は可能です。
ちなみに、TOB価格の引き下げや撤回は極めて限られた場合を除いて法令で禁止されています。
TOB発表は株価への影響が大きすぎるので、簡単に引き下げや撤回されていては、投資家への害が大きいので、当然ですね。
まとめ
保有株がTOBに遭遇すると最初はびっくりするかもしれません。
発表資料をしっかり見て、
- 上場廃止されるか
- TOB価格はいくらか
- 買い付け期限はいつか
を確認しましょう。
おすすめは、
- 上場維持される魅力的な株は保持
- 上場廃止されるなら、買い付け期限ぎりぎりまで待って市場で売却
