投資歴10年以上で、リーマンショックとコロナショックを経験しています。
リーマンショックはどこまで株価が落ちるか分かりませんでしたが、当時資金も少なかったので特に被害も利益もありませんでした。
一方で、コロナショックは株価の底値が見えたような気になりました。
当時は資金もそこそこあったので、安い時期に高配当株を仕入れ、現在も含み益+配当収入を得ています。
コロナショック時の底値は日経平均のPBRから判断しましたので、この記事ではその時の判断方法と理由を示します。
この記事を読むことで、暴落時の底値予想に日経平均PBRが一つの判断材料になることが分かります。
データの入手
信頼できるPBRデータは日経新聞社の公式サイトから閲覧可能です。
毎日更新されているので、たまに覗いてみるのも良いかもしれません。
PBRの種類
PBR: 株価が割安か割高かを判断する尺度で、Price Book-value Ratioの略。株価が1株当たり純資産の何倍の値段が付けられているかを表す。1を割ると純資産よりも株価の方が安いため、割安と判断されることもありますが、ずっと1以下で放置されている銘柄もあります。
日経サイトには加重平均PBRと指数ベースPBRの二つが記載されています。
加重平均:時価総額の大きな銘柄の影響が大きくなる計算方法
指数ベース:日経平均の構成比率の大きい銘柄の影響が大きくなる計算方法
市場の平均PBRを考える場合、加重平均PBRを用いるのが妥当です。
加重平均PBRの推移
下の図は2005年からの加重平均PBRの推移です。

2009年のリーマンショック後にPBRが0.81になっており、
2020年のコロナショック時にもPBRが0.81になっています。
なぜ底値と考えたか
PBRが0.81になった時に底値と考えた理由は3つあります。
- PERは大不況時には値が跳ね上がって使えない
- PBRは純資産をもとに計算しているので、大不況時でも大きな変化はない
- 金融業界では過去のデータを参考に投資判断を行う
一つずつ詳しく説明します。
1.PERは大不況時に値が跳ね上がって使えない
株価の割安・割高判断によく使われるのはPERです。
PER: Price Earnings Ratioの略で、1株当たり純利益の何倍の値段が付けられているかを示す。個人的には20倍を超えると手を出したくありません。10倍以下だからと言ってお買い得というわけでもありません。ずっと割安で放置される銘柄も多いです。
日経サイトにはPERのデータもありますが、以下の図のようにショック時には跳ね上がります

ショック時に跳ね上がる理由は、予想一株利益が減少するためです。
分母(利益)が小さくなるので、全体として大きくなってしまうわけです。
そのため、PERに全くあてにならない数字が出てしまい、企業価値の判断ができません。
2.PBRは純資産をもとに計算しているので、大不況時でも大きな変化はない
PERは大不況時に使えなくなるのですが、PBRは純資産で割っているので、利益ほどは変化しません。
もちろん大赤字で純資産は減りますが、一年の利益額ほどの変化はありません。
そのため、企業の利益を出す力が信じられなくなった場合でも、純資産は企業価値を示す指標として使えると考えています。
3.金融業界では過去のデータを参考に投資判断を行う
金融業界では値動きの幅や、リスクプレミアムの値などは過去データを参照することが多いです。
そのため、多くの人が過去のデータを参考にしながら、底値を探っていたと考えています。
多くの人が日経平均のPBRを参考にしていなくても、それぞれの企業のPBRもリーマンショック時の水準だったと想像できます。
以上の理由から、コロナショック時は日経平均PBRが0.81を記録したあたりが底値と判断しました。
何年後かにPBR0.8程度に落ちるパニックが起これば、間違いなく全力で株を買います。
注意点
10年に一度級の大暴落時に、PBRが底値判断に使えると考えていますが、注意点はいくつかあります。
- リーマンショックとコロナショックの2回のデータだけなので、統計的に正しいと主張しているわけではありません。
- PBRが0.81になるのを待っていても、1.0や0.9程度で跳ね返っているケースも多いです。0.81を底と信じて待っていても報われないケースも多いので、相場の格言「頭としっぽはくれてやれ」を実践する方が賢明なこともあります。
- 今のところ、10年に1回程度の頻度でPBR0.81が訪れていますが、その間何も投資しないより、年利7%程度で運用できれば10年で2倍程度の利益が出ます。S&P500の平均利回りは10%を超えているので、やや割安程度の時にS&Pを買っておくのが無難かもしれません。
S&P500の割安判断は以下の記事も参考にしてください
まとめ
日経平均の加重平均PBRはリーマンショック時とコロナショック時の底は0.81でした。
今後も10年に一度級のショック時はこの値が参考になります。