投資初心者に役立つ二つのノーベル賞理論

データ分析

・投資に興味あるけど、怖くて踏み出せない
・投資はじめてみたけど、うまくいっていない

という人に、投資に役立つ二つのノーベル賞理論を解説します。市場原理や心理的要素について理解が深まるので、投資でつまずくことが減り、どういうスタンスで投資をすればよいかのヒントになると思います。

①効率的市場仮説:今の市場価格は正しい

効率的市場仮説と呼ばれる説があります。この仮説は、現在の市場価格はあらゆる情報を反映した正しい価格であるという仮説です。これはユージン・ファーマ(Eugene Fama)によって提唱され、ファーマは2013年にノーベル経済学賞を受賞しています。

例えば、猛暑予想が出ていたら、エアコンメーカーの株を買いたくなるかもしれません。また、猛暑であれば電力需要が上がり、電力株が欲しくなるかもしれません。しかし、効率的市場仮説によると、今の価格は猛暑予想などすべての情報を含んだ正しい価格です。そのため、初心者が猛暑予想から、エアコンメーカーの株を買っても遅いのです。

◎効率的市場に対するおすすめの投資スタンス
見聞きしたニュースは皆が知っています。短絡的に買わないようにしましょう。
ちなみに、市場がニュースに対して、短期的に効率的な反応をすることはよく知られていますが、長期的な成長についても効率的かどうかは議論が分かれています。そのため、S&P500や全世界株への長期投資は一つの解だと思います。他にもバリュー投資やアノマリーと呼ばれる現象を見つける方法もあります。詳しくは別の記事で解説しようと思います。

②行動ファイナンス:損失と利益に対する人間の行動が異なる

行動ファイナンスという研究分野があります。これは人の心理に着目し、投資を行うにあたって「なぜ時として非合理的な行動をするのか」を研究する分野です。これはダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)らによって提唱され、カーネマンは2002年にノーベル経済学賞を受賞しています。

行動ファイナンスにはプロスペクト理論という理論があります。まずは以下の2つの問に答えてください。

問1.AとBどちらが良いか選択してください。
A:50%の確率で10万円もらえるが、50%の確率で何ももらえない
B:100%の確率で5万円もらえる

問2.AとBどちらが良いか選択してください。
A:50%の確率で10万円失うが、50%の確率で何も失わない
B:100%の確率で5万円失う

問1(利益が出る場面)ではBを選択する人が多く、問2(損失が出る場面)ではAを選択する人が多いといわれています。

何を意味するかというと、利益が出る状況では確実性が高いほうを好み損失が出る状況ではギャンブル性が高いほうを好みます。

この状態で投資に参加するとどうなるかというと、
利益が出ている時 → 確実性を好む → 利益確定を急ぐ
損失が出ている時 → ギャンブル性を好む → 価格が戻る可能性を信じる → 塩漬け
となり、買った銘柄の半分で損失が出るとすると、半分は塩漬け、半分は利益確定を急ぐ。次の投資でも、半分は塩漬け…となっていき、塩漬け銘柄が増えていきます。

◎行動ファイナンスから考えるおすすめの投資スタンス
出口は入口から入る前に決めておくことをおすすめします。そのためには、入口から入るときに、入る根拠を明らかにしておく必要があります。
例:入口の根拠→アメリカ企業は発展し続けるから、S&Pインデックスファンドを買う→出口はアメリカの発展がなくなれば売る。
このあたりも、投資戦略から入口と出口のスタンスが変わってきますので、別の記事で解説します。

まとめ

効率的市場仮説によると、今の市場価格は知られている情報はすべて反映されています。ニュースなどを見て買い時を決めても、勝てる見込みはうすいです。

行動ファイナンスでは、多くの人は利益確定を急ぎすぎる一方で損切はできないことが示されています。その結果、塩漬けが増えていきます。

インデックス積み立てやバリュー投資など、自分のスタンスを見つけましょう。

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