テクニカルはオカルト?:テクニカル分析について投資初心者に知っておいてほしいこと

データ分析

投資初心者はテクニカルから入る人が多いと思います。会計の勉強が必要なファンダメンタルよりも、チャートを見ると分かった気になるので人気なのだと思います。実際はテクニカルはとても難易度が高く、撤退する人も多く、ほとんどの人にとってS&P500に連動するインデックスファンドを積み立てるほうがパフォーマンスが高いです。この記事を読むと、投資初心者がテクニカルで気を付けることが分かります。

テクニカル分析とは

テクニカル分析とは、投資商品の値動きをチャートで表して、そこからトレンドやパターンなどを把握し、今後の価格推移を分析することです。

投資の名著では論理的な矛盾を指摘

ウォール街のランダムウォーカーは1970年代から重版されている投資の名著です。投資戦略はいくつか紹介されていますが、その中で、論理的な矛盾点が指摘されています。

チャート分析が論理的におかしい点はいっぱいある。
まず第一に、チャーティストはトレンドが形成された後にしか投資することはしない。市場では、株価の急反転は別に珍しいことではない。そのため、チャーティストは、しばしばタイミングを失することになるだろう。
第二に指摘できるのは、この手の手法は、結局のところ自己矛盾に陥るものだということである。同じ手法を用いる人々の数が多くなればなるほど、有効性が低くなっていく。そのうえ、トレーダーたちはシグナルが形成される前に予想しようと考え始めるだろう。もし一部の人々が、その銘柄の株価が明日40ドルになることを知っていたとすれば、株価は明日ではなく、今日ただ今40ドルになるだろう。

ウォール街のランダムウォーカー 第12版

特に二番目の指摘は重要です。多くの人が知っている手法は、その裏をかこうとする人も多いので、通用しなくなっているどころか負けてしまうこともあり得ます

歴史上最高成績のヘッジファンドはテクニカル分析を使っていた?

「最も賢い億万長者」では、史上最も高い年率リターンを達成したと言われているメダリオンファンドの関係者を取材して、ファンド創業者のシモンズの経歴や手法が紹介されています。メダリオンの平均年率リターンは63%で、世界最高の投資家といわれるウォーレン・バフェットでも20%程度なので、そのパフォーマンスの高さが分かります。

その手法も、値動きやそのほかの経済データのパターンを暗号のように解読し、機械的に資金を投じます。まさにテクニカルを極めた手法に見えます。つまり、徹底的に極めれば稼げる可能性はあります。

ただ、今となっては世界中で似たようなファンドが立ち上がっており、世界的なデータ解析コンテストのkaggleでも、定期的にマーケット予想のコンテストが行われています。テクニカルに挑戦する場合、競争相手はこのような暗号解読や数学の専門集団であることを知っておく必要があります。

自信過剰な投資家たち?

様々な研究で、人は自信過剰気味であることが証明されています。特に若い人ほどその傾向が強く、大学生の90%以上は自分の運転能力は平均より上だと考えているという調査結果もあります。

また、ダニング・クルーガー効果という認知バイアスが知られており、能力の低い人は自己評価を正しくできず、自身を過大評価してしまう傾向があるようです。

これら人間の自己評価の研究から分かるように、ある手法が紹介されていれば、自分は他人よりもうまくできると勘違いしている人は多いです。

「ウォール街のランダムウォーカー」によると、自信過剰な人は投資パフォーマンスが悪い傾向があり、そういう人たちは市場でカモになります

それでもチャレンジするなら

ネガティブな情報ばかり集めて、行動しないのはもったいないこともあります。しかし、テクニカルは人については行動しない方がよいと思います。それでもチャレンジするのであれば、以下の点に注意したほうが良いです。

  • 全額ではなく、投資に使えるお金の一部でチャレンジしましょう。
  • S&P500に連動するインデックスファンドとパフォーマンスを定期的に比較するようにしましょう。
  • テクニカルでうまくいかなくても、投資に向いていないわけではありません。堅実にインデックス積み立てするなどの別の手法を試しましょう。
  • 再現性が低いことを把握しておきましょう。今まで通用していた方法が突然通用しなくなります。これは他人に教えられないだけでなく、自分で同じことを再現しないことがあることも意味します。
  • 投資というよりも投機(ギャンブル)に近いことを把握しておきましょう。テクニカルでの売買は、価格推移に対して資金を投じているのであって、投資対象の価値を吟味できていません。チャートは投資対象の価値を表さないのです。

まとめ

テクニカル分析は初心者が手を出しやすいですが、注意点は多いです。チャレンジするのは構わないですが、パフォーマンスを定期的に振り返り、悪ければ別の手法を試しましょう。

タイトルとURLをコピーしました