S&P500は本当に右肩上がり?:50年分のS&P500の値動きから分かる一括投資の妥当性

データ分析

2022年は年初からS&P500が下げており、7週連続下落でドットコムバブル以来ともいわれており、保有している人は気が気でないかもしれません。S&P500は右肩上がりで伸びているという情報から購入した人も多いと思います。この記事ではS&Pが本当に右肩上がりかどうか分かります。また、一括投資を検討中の方は、買い時に気を付けるべきバブルについても理解が深まります

右肩上がりとは?

まずは「右肩上がり」という言葉の定義が必要です。

2012年までのデータを見た時に右肩上がりと思う人は少ないと思います。

2012年までのS&P500の価格推移

一方で、2022年までのデータであれば、右肩上がりといわれてもうなずく人が多いと思います。

2022年までのS&P500の価格推移

一般にでこぼこした曲線をならすためには移動平均がよく使われます。ここでも感覚的な判断を避けるために、「右肩上がり」とは
・移動平均をとった時に前回ポイントよりも下がっていないこと
と考えます。

158カ月移動平均をとるとS&P500は右肩上がり

1970年からの月次データを取得。2カ月、3カ月…と移動平均を徐々に大きくし、一度も下がらなくなるポイントを求めました。結果158カ月(13年2カ月)移動平均を取ると、一度も下がらない状態(右肩上がり)になりました。

S&P500の158カ月移動平均線

ウォール街のランダムウォーカーでは、1950年からの統計でS&P500を15年以上保持した場合に損失はないことが紹介されており、その結果とも一致します。

なぜ長い期間の移動平均が必要か?

なぜ158カ月(13年2カ月)もの長期間のを平均取らないと右肩上がりにならないのでしょうか?
120カ月移動平均線を見るとどのあたりで下落しているかが明らかになります。

S&P500の120カ月移動平均線

2000年ごろのITバブル崩壊時や2009年ごろのリーマンショック時に大きなくぼみができており、この影響が大きいことがわかります。データは分配金を含まないデータなので、長期保有時のパフォーマンスはもう少し高いですが、バブル期に購入すると、10年スパンで戻ってこない可能性があります。積み立てではなく、一括で投資しようとしているのであれば、このバブルは避けたいです。

バブルを見つける指針

ドルコスト平均法で買い続けるうちはバブル期に買っても問題ないですが、一括投資の場合はバブル期は避けたいです。ではどのようにバブルを見つけられるでしょうか?

おすすめは平均PERと景気動向です。
下のグラフはS&P Global社から提供されている報告された利益(reported profit)の実績PERです。

S&P実績PERの推移

リーマンショック時やITバブル崩壊時に高い値になっていますが、これは景気後退時のためです。
1988年からの実績PERの平均は24.4倍で、好景気の時にこれより高い場合は買わないほうが無難です。

ウォールストリートジャーナルでも毎週PERが更新されますので参考になります。

まとめ

S&Pは158カ月(13年2カ月)移動平均線をとると右肩上がりになります。これだけ長い期間の平均をとる必要があるのは、バブルが存在するためです。ドルコスト平均法で投資する場合は気にせず買い続けてもよいですが、一括投資時は平均PERを参考にしながら、バブルを避けましょう。

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