投資初心者は何からはじめればよいか迷うと思います。
一般には、S&P500に連動するインデックスファンドへの積み立てか手軽で効率的です。
ただし、いつ積み立てをやめるか(出口)が難しく、積み立て中は家計の収入改善にならないことがデメリットです。
一方で高配当株への投資は、配当金を受け取れるので、出口や家計改善のことを意識しなくて済みます。この記事では高配当投資のメリット・デメリットを説明します。
S&P500への投資は簡単だが、出口が難しい
「ウォール街のランダム・ウォーカー」や「敗者のゲーム」など、投資のベストセラー書籍では、最適な投資はS&P500に連動するインデックスファンドへの投資といわれています。
1950年からの統計では、15年以上続けた人で損した人はいません。
ただ、出口が難しいです。いつ止めるか、いつ取り崩すかに迷います。
資産形成後に4%ずつ取り崩すトリニティスタディ等も提案されています。トリニティスタディでは3~12%ずつ取り崩した場合に30年後に資産が底をついていない確率が分かります。
論文へのリンクを載せますが、表だけでも見ておく価値はあります。(債券をどの程度混ぜるかも記載されています。)
取り崩すといっても、30年で底をつくかもしれない状態で取り崩していくのは勇気がいると思います。
高配当投資のメリット
いつ積み立てをやめて、取り崩しはじめるかを迷うインデックス投資に比べ、高配当投資は定期的に収入が入るので、迷うことはありません。
高配当投資のメリットは以下です
配当が自動的に入る
高配当株に投資していれば、意識しなくても自動的に配当が入ってきます。
資産を取り崩す精神的負担はありません。
※厳密にいうと、株主は会社の一部を所有しています。そのため、所有している会社の資産は配当を出すことで減ってしまいます。しかし、自分で取り崩す精神的な負担はありません。
配当は景気に大きく左右されない
悪い会社を選ばなければという前提になりますが、配当は景気に大きく左右されません。
日経配当指数の年次推移を見ても、コロナショック時であっても、大きく配当が下がっていません。
家計の収入を改善
多くの会社は半年ごとに配当を出しているので、投資して半年以内に家計の収入が改善します。
上場企業の情報に詳しくなる
会社の規模や利益に詳しくなるので、バリュー投資など別の投資にチャレンジしやすくなります。
高配当投資のデメリット
高配当投資のメリットを述べましたが、デメリットもあります。
買うタイミングが難しい
5%くらいの配当があれば、20年程度で回収できるので、タイミングを考えず買ってしまってもよいのですが、含み損を抱えるのが精神的に良くないです。
そのため、市場が悲観的な時期に買いたいですが、そのタイミングをつかむのは難しいです。
銘柄選定が難しい
高配当ランキングなどで上位から買っていけばよいかというと、そうではありません。
- 減配した実績がないか?
- 一株利益が安定しているか?
- 配当性向に無理がないか?
- 記念配当など一時的な要因で配当が増えているだけではないか?
など、数字だけで判断できないこともあります。
また、リスク分散のために、一社に集中投資せず複数社に分散する必要があります。
理想的には業界も分散させることが望ましいです。
減配実績と一株利益の安定についてはスクリーニングした記事を書いていますので参考にしてください。
日経高配当50 ETFなどの高配当詰め合わせパックもありますが、上記の注意点を考慮せず、配当が高いものを機械的に抽出しているので、減配リスクが高い銘柄も含まれてしまいます。
それでも、よくわからないまま少数の高配当企業に投資するよりはましかもしれませんが。。
トータルリターンはS&P500に勝てないことが多い
S&P500に連動するファンドとして有名なVOOと、S&P500の高配当銘柄だけを集めたSPYDがあります。トータルリターンは通常のインデックスファンド(VOO)に高配当(SPYD)が負けていることがほとんどです。(リンクのVOOとSPYDのbloombergのサイトでも5年トータルリターンは確認できます。)
S&P500で積み立てを続けて、適当な時期に高配当に切り替えるのも一つの手です。タイミングの難しさは消えませんが。
まとめ
高配当投資はタイミングや銘柄選定が難しく、トータルリターンはS&P500よりも低いかもしれませんが、自動的に配当が入ってくるので、資産を取り崩す精神的負担がなくておすすめです。